今年8月から9月にかけて発生したパキスタンの洪水。
一時は国土の3分の1が冠水したと言われていました。
最も冠水被害の大きかった南部シンド州では、やっと半分くらいの水が引いたようです。
参考:パキスタン洪水、小麦作付け懸念 最大被害州、冠水は半分に(共同通信) – Yahoo!ニュース
しかし、まだまだ浸水の解消には半年ほどかかると言われています。
まだ多くの人は家に帰ることができず、避難場所で過酷な生活を強いられています。
地元当局は、被災地の浸水の状況について「深さがおよそ3メートルになっている地域もあり、人々が戻れる状況ではない」と説明しました。
引用:パキスタン 洪水で約1400人犠牲 浸水解消に半年も 長期化懸念 | NHK
8週間以上、簡易なテントで生活している家族もいます。灼熱の太陽から身を守るものは、ぼろぼろの布切れしかないという家族もいます。子どもたちの周り、時には寝床から数メートルしか離れていない場所に、肥料や排せつ物で汚染された水が溜まり、病気やウイルスがまん延しています。
現在、52万人の子どもたちが重度の急性栄養不良に直面しており、今すぐ治療を必要としています。また、8万人近くが合併症を伴う重度の急性栄養不良に苦しんでおり、緊急の医療介入を必要としています。今回の洪水がパキスタンを襲う以前から、被災した地区では5歳未満児の平均50%が発育阻害に陥っていました。
700万人以上の子どもと女性が、直ちに栄養の支援を受ける必要があります。また、400万人近くの子どもが保健サービスを受けられていません。さらに、760万人の子どもたちが保護を必要とするようなリスクにさらされ、200万人の子どもたちが洪水の直接の結果として学校に通えなくなっています。
給水設備や衛生施設が被害を受けたため、550万人が安全な飲料水を手に入れることができなくなりました。
引用:パキスタン洪水:ユニセフ、資金要請を1億7,350万ドルに引き上げ~国際社会へ支援を呼びかけ【プレスリリース】|公益財団法人日本ユニセフ協会のプレスリリース
ニュース通信社のロイターは、ある病院を取材し、現地のようすを伝えています。
アフメド医師が働く診療施設には、毎朝推定300─400人の患者が訪れる。多くは子どもで、大半がマラリアや下痢の症状を呈している。もっとも、アフメド医師は冬が近づくにつれてそれ以外の疾病も増えてくるのではと心配している。
「洪水で避難を強いられた人たちが、冬の到来前に自宅に戻れることを願っている。さもなければ、テント暮らしが続く中で、呼吸器系の疾患や肺炎にかかるリスクが高くなってしまう」
自宅から避難した数十万人のパキスタン国民は、避難民を収容するために政府が設置したキャンプか、単に野外で暮らしている。
あふれ出た水は数百平方キロに広がり、引く様子を見せない。場所によっては2─6カ月もかかる恐れがある。皮膚や目の感染症、下痢、マラリア、腸チフス、デング熱などの症例がすでに広がっている。
引用:焦点:パキスタン洪水の「二次災害」、被災者にマラリア急拡大 | ロイター
こうした状況から、国連は支援計画を見直ししました。
国連はこれまでの計画の5倍となる8億1600万ドル、日本円にしておよそ1170億円を拠出する計画を発表し、国際社会に支援を呼びかけました。
引用:パキスタン 洪水被災地で感染症拡大 国連8億ドル超の支援計画 | NHK | 気象
日本では、洪水の発生当初こそニュースで取り上げられましたが、現在の二次被害の拡大についてはあまり取り上げられません。
今回の国連の呼びかけがきっかけになって、支援が増え、より多くの人が助かることを願います。